病院食「6つの工夫」
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いつまでも
食べ続けるために
~ 西武川越病院のお食事「6つの工夫」~
「西武川越病院」の食形態の種類
栄養科から提供している食形態は
「ソフト食」
「ゼリー食」
「ペースト食」
全部で
5種類!!
当院に入院されている患者様は
ご高齢の方が多い為、
より食べやすい様
常食から軟らかめに
仕上げています。
患者様の
「噛む力」「飲み込む力」
に合わせた食形態を
選んで頂けるよう
効率よく栄養がとれ
安全に口から召し上がって
頂けるよう
「6つの工夫」をしています。
工夫 1 ~「噛む力」を助ける 酵素処理~
肉の繊維は火を通すと、硬く締まり噛みづらくなります。
現在、栄養科から提供している肉料理は、調理前に「やわらかアップ」に漬け込みます。
これにより、酵素などの働きで
食べやすい軟らかさに仕上がります。
主菜料理での調整
牛肉・豚肉は酵素の力で見た目は変わらず軟らかく仕上がります。
魚も酵素処理したものを使用しています。
なるべく刻まずご提供出来るよう調理師が調整しています。
野菜での調整
「軟菜」 大根のそぼろ煮
火を通す事で軟らかくなる食材は、
刻まず、形のある状態で提供しています。
- ふろふき大根
- かぼちゃの含め煮
- さつま芋のレモン煮 など
他にも 調理過程で軟らかく、
刻む必要のない仕上がりとなった料理は
そのままご提供できるよう、厨房内でも
連携をとっています。
工夫 2 ~「飲み込みやすくする」食形態~
肉や魚等、軟らかくしても
飲み込みに障害のある方には難しい食材です。
その為、ペースト状の肉などを
再成型する事により、均一な
飲み込みやすい食形態にしています。
これを
「嚥下調整食」といいます。
嚥下調整食
口の中・舌の動きがうまくいかない等飲み込む事が困難な方に適した「 飲み込みやすい」食事の事です。
☆口の中でばらけない事
☆滑らかな食感とのどごしが良い
☆密度が均一にする事が飲み込みやすいとされています。
肉料理での調整
☆牛肉の甘辛煮☆
「軟菜食」
水分を多く含ませています。
「ソフト食」
再形成して蒸しあげています。
魚料理での調整
切り身の「赤魚」を「しょうが焼き」にすると…
魚や肉の繊維は火を通すと、硬く締まり噛みづらくなります。
その為、軟菜食には「酵素処理した赤魚」を使用しています。
蛋白分解酵素で繊維が細かくなっているので、軟らかい食感です。
ソフト食は、赤魚をペースト状にして豆腐と長芋をつなぎにして蒸しています。
☆赤魚のしょうが焼き☆
「常食」「軟菜食」
酵素処理しています
「ソフト食」
工夫 3 ~必要な栄養素「蛋白質」を補う①~
蛋白質6.5g添加
=赤魚 40g分の
蛋白質!!
「味噌汁に蛋白質を添加」
肉や魚などをしっかり摂取出来れば必要量摂る事が出来ますが、食事量が少ない・嚥下障害でつなぎを入れないと料理できない…等となると不足します。
その為、軟菜・ソフト・ペースト食には、蛋白質の不足分を添加しています。
また、ソフト・ペースト食の汁はゼリー化しました!
飲み込みやすく味の変化もあまり無いと思います♪
工夫 4 ~必要な栄養素「蛋白質」を補う②~
「プロテインゼリー」
週2回 昼食のゼリーとして
組み込んでいます。
良質蛋白質を強化し、
鉄・亜鉛・カルシウムを補給します。
1個あたり( )は1日所要量
| エネルギー | 100kcal |
|---|---|
| 蛋白質 | 7.2g |
| カルシウム | 200㎎(600) |
| 鉄 | 5㎎(10) |
| 亜鉛 | 5㎎(11) |
| ビタミンA | 550μg(600) |
| ビタミンB1 | 0.65㎎(1.1) |
| ビタミンB2 | 0.85㎎(1.2) |
| ビタミンC | 100㎎(100) |
| 葉酸 | 110μg(200) |
工夫 5 ~必要な栄養素「ビタミン」「ミネラル」をとる~
「ヴィタッチゼリー」
昼の献立にゼリーとして組み込んでいます。
野菜を茹でる・刻む・ペーストにする等して失ってしまう栄養素をこのゼリーで補います。
1個あたり( )は1日所要量
| エネルギー | 100kcal |
|---|---|
| 蛋白質 | 1.2g |
| カルシウム | 5㎎(10) |
| 鉄 | 10㎎(11) |
| 亜鉛 | 850μg(600) |
| ビタミンA | 850μg(600) |
| ビタミンB1 | 1.4㎎(1.1) |
| ビタミンB2 | 1.6㎎(1.2) |
| ビタミンC | 400㎎(100) |
| 葉酸 | 240μg(200) |
工夫 6 ~必要な水分をトロミとゼリーでとる~
☆通常のお茶
☆トロミ①
☆トロミ②
☆お茶ゼリー
全4種!!
水分摂取は脱水予防に大変重要ですがむせる危険もあります。
適切なトロミをつける事で飲み込みやすくなります。
トロミを付けてもむせてしまう場合はお茶ゼリーが適しています。
ゼリー状になると、すべりも良く
咽頭に残った食品を綺麗に除去する交互嚥下の効果もあります。
水分も栄養科で調整します
通常のお茶
お茶ゼリー
水分補給ゼリー
お茶がすすまない方にはスポーツドリンク味の水分補給ゼリーもご用意します
トロミのお茶
☆トロミ①(弱)のお茶
☆トロミ②(強)のお茶
トロミは付けすぎると喉に貼りつき
飲み込み辛くなります。
トロミ②で飲み辛い方にはお茶ゼリーにします。
様々な工夫により患者様の「飲み込む機能」に着目した食事をご提案しあなたの「食べる喜び」を支えます!
引用・参考文献
- 金子芳洋,食べる機能の障害,医歯薬出版株式会社,
- 藤谷順子,金谷節子,林静子(共著) 嚥下障害食のつくりかた,日本医療企画,
- 黒田瑠美子(監修) 高齢者ソフト食レシピ,河出書房新社,
- 廣瀬喜久子(監修) 高齢者に喜ばれる楽しい食事,日本医療企画,
- 落合敏,介護食メニュー,講談社,
- 渡邊早苗,松崎政三,寺本房子(編著) 臨床栄養管理,建帛社,
- 早坂朋恵(編著)低栄養まるわかりガイド,メディカ出版,
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